はじめに
Another works CTOの塩原です。
最近はエンジニア採用に力を入れているので、今回は弊社で実践しているユニークな採用手法「複業転職」についてご紹介させていただきます。
複業転職とは
複業転職は、正社員として入社する前に、業務委託契約を経て実際の業務に携わり、その後に正式な転職を行う方法です。一般的な転職フローと比べると期間は長くなりますが、コーディングテストや面接のプロセスが簡略化される傾向にあります。
複業転職のメリットとデメリット
では複業転職がどういったメリット・もしくはデメリットがあるのか採用側の目線と求職者側の目線でそれぞれ整理をしていきます。
採用側の視点
複業転職は、特にエンジニアのような採用が難しい職種において、非常に適した手法です。
または、人数を増やすだけでなく、カルチャーマッチを重視し、慎重に優秀な人材を選びたいという採用戦略に合致します。
ただし、即時の採用効果が期待できないため、急ぎで人員を確保する必要がある場合には不向きかもしれません。
メリット | デメリット |
---|---|
転職潜在層へのアプローチが可能 | 転職までのリードタイムが長い |
カルチャーマッチの判断が容易 | 外注費用が発生 |
オンボーディングコストの削減 | マネジメント負担の増加 |
社内エンジニアとの連携がスムーズ | 運用の複雑さ |
求職者の視点
求職者にとってのメリットとしては転職先の選択を失敗するリスクを減らすことができるという点があります。
また面接を複数社受けたり、コーディングテストを受けたりなど従来の転職活動が苦手な方にとっても複業を通した付き合いの中でお互いを知ることができるため転職コストの低減となります。
一方で採用側と同様にすぐに転職したい場合は不向きです。
また複業は一定の時間を取られることから複数の企業を同時並行で進めるのが難しいという特徴もあります。
メリット | デメリット |
---|---|
入社後のギャップが少ない | 選択肢の限定 |
転職活動のコスト低減 | 速やかな転職が困難 |
複業転職を活用した採用戦略
通常の業務委託契約では転職につながることが少ないため、複業転職には独自のアプローチが必要です。
複業転職では、業務の選定と定期的なコミュニケーションが成功の鍵となります。
単純作業ではなく、複業者のスキルを活かす業務を選ぶことが重要です。
割り当てる業務の種類
業務は、定期的に正社員エンジニアとのコミュニケーションが発生するようなものを選びます。
このような業務は、単純な作業ではなく、複業者のスキルと経験を活かすものであるべきです。
業務内容を対話ベースで徐々に拡大していくと、複業者はよりやりがいを感じ、企業へのコミットメントも高まる傾向があります。
転職に繋がりやすい業務 | 転職に繋がりにくい業務 | 工夫が必要な業務 |
---|---|---|
アドバイザリー業務 | 単純なデータ入力 | 個人で完結するタスクの開発(技術負債の解消、UI修正など) |
エンジニア研修の実施 | デバッグ作業 | 自動テストの作成 |
チーム開発プロジェクトへの参加 | - | CI(継続的インテグレーション)の改善 |
特に工夫が必要な業務では、ペアプログラミングや同期コードレビュー、社内勉強会など、積極的なコミュニケーションを取る機会を設けることが、より効果的です。
Another worksの事例
事例1: AIアドバイザーから正社員への転身
💡ポイント: 受発注の関係を越え、相談内容を段階的に深めることで、双方が同じ目線に立てるようになります。
背景
- AI技術を活用したプロダクトの改善が必要だが、社内には専門知識が不足している。
- AIの影響力について不確実性があり、正社員として即時採用するのは困難。
- そのため、社内でAIに関する知見を蓄積しつつ、プロトタイプ開発を行うために、AIアドバイザーとして複業人材を採用。
複業内容
- 週一回の壁打ちセッションと、Slackを介した定期的な相談。
転職への経過
- 最初はレコメンデーションシステムの導入から始め、使用可能なデータを基に、適切なライブラリや学習方法の相談に集中。
- 徐々にAIのプロダクトへの統合を進め、中長期的な戦略や概念的なアイデアへと話が広がる。
- その過程で、AIエンジニアとして正社員への転職を望むアドバイザーが自ら名乗りを上げる。
事例2: カジュアル面談から複業を挟んで選考への以降を決める
💡ポイント: 業務だけでなく、それ以外のコミュニケーションにも重点を置くことが重要。
背景
- カジュアル面談で自社への興味を持った候補者がいたが、直ちに転職を予定していないため、一次面接には進めない。
- 複業を介して、カジュアル面談では伝えきれなかったチームの雰囲気や業務内容を理解してもらう。
複業内容
- ロードマップには含まれていないが重要なリファクタリング、パフォーマンス改善、UI修正などのタスクをチケット化し、自由に選択してもらう。
転職への経過
- 実際の業務体験を通じて、CTOとのランチやチームとの交流を深め、複業期間中に候補者の意向を高める。
- Another worksのコードやプロダクトの良し悪しを包み隠さず示し、候補者が自社で果たせる役割の可能性を理解してもらう。
まとめ
複業転職は、特にエンジニアやCXOクラスのような採用が難しい職種において、徐々にスタンダードな採用手法として認識されつつあります。この手法は、求職者にとっても非常に有効です。
現代の就労環境では、複数回の転職が一般的になりつつあります。
しかし、従来の方法では、毎回複数の企業で面接を受け、新しい職場でいちからスタートするという重大な負担が伴います。
複業転職は、このような負荷を軽減し、キャリアチェンジをよりスムーズで緩やかなものにします。
実際の業務を経験することで、求職者は企業の文化や仕事内容を深く理解し、より確かな決断を下すことが可能になります。
この手法は、採用側と求職者双方にとって、新しい時代のニーズに適応した理想的な解決策となるでしょう。
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